【特定技能の運用方針】(11)漁業
2025.04.18漁業分野における特定技能制度【2024~2025年最新版】
国内では漁業従事者の高齢化や離職が進み、特に沿岸漁業や養殖業では人手不足が深刻化しています。こうした状況を受け、海上保安や水産物の安定供給を支える人材確保策として「特定技能」制度による外国人材の受け入れが注目されています。本記事では、漁業分野における特定技能制度の概要、必要要件、最新動向をわかりやすく解説します。
漁業分野の特定技能制度とは?
特定技能制度は、専門的な知識・技能を持つ外国人を即戦力として受け入れる在留資格です。漁業分野では「特定技能1号」と「特定技能2号」が設定され、以下の業務区分で就労が認められています。
・漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索・採捕、漁労機械の操作、鮮度保持処理、安全衛生確保など)
・養殖業(養殖資材の製作・管理、育成管理、収獲・処理、安全衛生確保など)
なぜ漁業分野で外国人材が必要なのか?
・沿岸漁業者の高齢化・後継者不足により漁労作業が滞りがち
・養殖施設の拡大に伴う繁忙期の労働力不足
・漁場や漁法ごとの繁閑差が大きく、柔軟な労働力配置が求められる
2025年に向けた最新動向:技能測定試験の実施状況
2024年以降、「1号漁業技能測定試験(漁業/養殖業)」および「2号漁業技能測定試験」が本格実施されています。2025年には実施回数の増加や試験言語の拡充(英語等の検討)も予定されています。最新スケジュールは水産庁発表を確認してください。
どんな業務に従事できるの?
特定技能1号外国人は、試験合格または技能実習2号良好修了による技能確認を経て、上記の漁業/養殖業の主業務に従事します。特定技能2号は、これらに加えて実務経験(漁船漁業では指揮監督補佐・作業員指導など2年以上、養殖業では作業工程管理など2年以上)が求められます。いずれも、付随的に日本人が行う関連業務(漁具点検・船体清掃・漁獲物の仕分け・加工出荷など)に携わることは可能ですが、関連業務のみの従事は認められません。
外国人材が満たすべき条件
(1)技能水準
・1号:1号漁業技能測定試験(漁業/養殖業)の合格
・2号:2号漁業技能測定試験の合格+実務経験要件(2年以上)
※技能実習2号良好修了者は、1号試験および日本語試験(N4以上)が免除されます。
(2)日本語能力
・1号:日本語基礎テストまたはJLPT N4以上
・2号:JLPT N3以上
受入企業(特定技能所属機関)に求められる条件
・漁業分野特定技能協議会への加入(在留申請前に構成員登録必須)
・特定技能雇用契約の適正な履行…派遣事業者の場合は、漁業関連の組織主体であることなど告示基準に適合
・支援計画の策定・実施…入国前オリエンテーション、生活・就労支援を自社または登録支援機関が実施
・労働時間管理…漁業・養殖業は労基法適用除外ながら健康確保の観点から適切な休憩・休日設定が必要
よくある質問(FAQ)
Q1 家族帯同は可能ですか?
A 1号では不可です。2号であれば認められます。
Q2 試験免除が適用される実習2号職種は?
A 漁船漁業職種9作業や養殖業職種1作業など、分野別運用要領別表に示されたものが対象です。
Q3 派遣形態での受入れ要件は?
A 派遣元は地方公共団体・漁協等漁業関連組織が主体、かつ労使協議会登録支援計画の協力義務を満たす必要があります。
まとめ
漁業分野の特定技能制度は、高度な漁労技能と日本語能力を備えた外国人を受け入れ、漁業・養殖業の労働力不足を解消する有力な仕組みです。技能測定試験や実務経験要件、日本語試験をクリアし、受入企業は協議会加入や支援計画整備、適正雇用契約の履行を通じて、安全かつ持続可能な漁業体制を築いていくことが求められます。最新の試験実施状況や告示改正情報をこまめに確認し、戦略的な人材採用を進めてください。