【特定技能の運用方針】(13)外食業
2025.04.18外食業分野における特定技能制度【2024~2025年最新版】
国内では少子高齢化や人手不足の影響で、飲食店やケータリング、給食事業など外食業分野の担い手確保が一段と難しくなっています。特に調理や接客、店舗管理といった専門性の高い業務では人材流動が激しく、サービス品質の維持・向上が課題です。こうした状況を解消するため、令和6年2月に改正が行われた外食業分野の特定技能制度を活用し、外国人材を即戦力として受け入れる動きが加速しています。本記事では、外食業分野における特定技能1号・2号の制度概要、必要要件、最新の改正ポイント(2024~2025年)をわかりやすく解説します。
外食業分野の特定技能制度とは?
特定技能制度は、深刻化する産業分野の人手不足を補うため、一定の技能や経験、日本語能力を有する外国人を受け入れる在留資格です。外食業分野では「特定技能1号」「特定技能2号」の両方が設定されており、それぞれの要件を満たした者に在留資格が付与されます。運用方針や告示が令和6年2月までに改正・更新され、最新の運用要領に基づく受入れ基準が整備されました。
なぜ外食業分野で外国人材が必要なのか?
・国内の飲食業従事者の高齢化・離職率の増加
・多様なメニュー対応やインバウンド需要拡大による接客負荷の増大
・繁閑差の大きい業務量に対応できる柔軟な労働力の必要性
これらの背景から、専門技能を持ち即戦力となる外国人材の活用によって、人手不足の緩和とサービス品質の維持向上を図る動きが活発化しています。
対象となる業務区分
外食業分野の特定技能制度では、1号と2号で業務範囲が定められています 。
⚫︎特定技能1号外国人が従事する業務
・飲食物調理:食材仕込み、加熱/非加熱調理、盛付け、飲食物の調製など
・接客:席案内、メニュー提案、注文受付、配膳・下膳、会計、苦情対応など
・店舗管理:衛生管理、シフト管理、従業員指導補助、予約・顧客情報管理、発注・検品、簡単な販促物作成等
⚫︎特定技能2号外国人が従事する業務
上記1号業務に加え、
・店舗経営:売上管理、経営分析、契約事務、部門マネジメントなどの管理業務
として、トータルに店舗を運営管理できる人材が対象となります。
必要な技能測定試験と日本語能力水準
外食業分野では、以下の試験及び経験要件を満たす必要があります。
⚫︎技能測定試験
・1号:外食業特定技能1号技能測定試験に合格
・2号:外食業特定技能2号技能測定試験に合格
⚫︎日本語能力
・1号:国際交流基金日本語基礎テスト合格または日本語能力試験N4以上
・2号:日本語能力試験N3以上
⚫︎実務経験要件(2号のみ)
・食品衛生法の営業許可を受けた店舗で、複数のアルバイトや特定技能外国人等を指導・監督しながら接客・店舗管理を補助する役職(副店長、サブマネージャー等)として、2年間の実務経験を要件とします(改正後は在留期間上限までの残日数から6ヶ月を除いた期間を目安に計算) 。
⚫︎試験免除措置
・技能実習2号を良好に修了した者は、職種・作業を問わず1号の技能測定試験および日本語試験が免除されます 。
外国人材が従事できる関連業務
主たる調理・接客・店舗管理業務に付随して、日本人が通常行う以下の関連業務への従事も許可されます。ただし、関連業務のみを専ら行うことは認められません。
・原材料の発注・検品、商品陳列
・店内外の清掃・環境整備
・簡単な事務作業(売上データ入力、書類整理等)
受入企業(特定技能所属機関)に求められる条件
外食業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、以下を満たす必要があります。
⚫︎協議会への加入
農林水産省主管の「外食業分野特定技能協議会」への加入が必須。加入後は協議会及び農林水産省の調査・情報共有に協力する義務があります。
⚫︎雇用契約の適正履行
・風営法に定める風俗営業の店舗で働かせないこと
・接待業務を行わせないこと
・労働者派遣契約を締結しないこと(直接雇用が原則)
⚫︎支援計画の策定・実施
入国前オリエンテーションや生活・就労支援、定期面談などを自社または登録支援機関と協力して実施し、支援計画の遂行を確保します。
⚫︎キャリアアッププランの提示
雇用契約締結時に、職務経験や訓練機会を通じた能力向上・処遇改善計画を書面または電磁的記録で提供し、説明する必要があります。
⚫︎実務経験証明書の交付
外国人から請求があった場合、実務経験を証明する書面を交付しなければなりません。
よくある質問(FAQ)
Q1 家族帯同はできますか?
A 1号は不可ですが、2号であれば可能です。
Q2 派遣形態での受入れは可能ですか?
A 特定技能外国人を派遣労働者として受け入れることは一切禁止されています。
Q3 協議会加入前に申請できますか?
A 入国後4ヶ月内の加入誓約書で対応可能でしたが、令和6年6月15日以降は申請前に協議会の構成員証明書の提出が必要になりました。
最新の改正ポイント(2024~2025年)
・令和6年2月15日の運用要領改正で、協議会加入義務の手続き強化と実務経験計算方法が明確化
・2号特定技能向け実務経験要件が「残存在留期間マイナス6ヶ月」で算定可能に
・技能実習2号修了者の試験免除範囲を全職種・作業に拡大
まとめ
外食業分野の特定技能制度は、飲食物調理・接客・店舗管理の現場力を海外から取り込む有力な手段です。1号は主に現場オペレーター、2号は管理職候補として幅広い活躍が期待されます。受入企業は協議会加入や適正な雇用契約・支援計画の整備を通じて、制度を正しく運用し、人手不足解消とサービス品質向上の両立を図ってください。最新情報は随時運用要領や告示を確認のうえ、戦略的な採用計画を立てましょう。