月給制のまま「欠勤したら日割りで引く」は、なぜ揉めるのか
2026.04.24
|
外国人雇用のミカタ
月給制のまま「欠勤したら日割りで引く」は、なぜ揉めるのか |
|
「月給だから、来なかった分は引いて当然」。トラブルになるのは、金額の大小以前に「何をもって欠勤とみなし、どの根拠でいくら控除するのか」が、書面・規程・説明のいずれかで揃っていない場合だ。 外国人スタッフを含む職場では、言語や生活習慣の差もあって、説明の抜けがそのまま不信感につながりやすい。 揉めやすさは「定義のズレ」から起きる
月給制は、一定期間の労働に対して月額の賃金を支払う形である。現場がつまずきやすいのは、「月額」という言葉が欠勤や遅刻・早退の扱いまで一言で説明できると錯覚しやすい点だ。 少なくとも次のような論点が重なる:何を欠勤と呼ぶか(無断欠勤、病欠、会社都合の休業、有給との関係など)、控除の根拠がどこに書かれているか(雇用契約、就業規則、賃金規程など)、計算方法が一貫しているか。 現場で増えやすいパターン
①例外を口頭で積み上げる運用:「今回だけ」「この人は特別」は現場調整としては楽だが、後から説明できない。説明できないものは、トラブル時に防御にも説明にも使えない。 ②勤務の形と賃金の説明が一致しない:シフト制の要素が強いのに月給の説明だけが先に進むと、「いつ働くのが前提か」が共有されない。前提が共有されないまま控除が出ると、納得が生まれにくい。 ③給与明細の見方の説明がない:明細は「結果の通知」だが、初めての環境の人にとっては暗号に近い。特に控除項目は、用語と根拠がセットでなければ誤解が残る。 整えるべき最小セット
規程:欠勤・遅刻・早退の定義と、控除の考え方が参照できる条文・規程があること。 手順:誰がいつ、どの資料に沿って計算し、誰が確認するかが決まっていること。 説明:入職時と制度変更時に、母国語資料や通訳の有無を含めて読み合わせができること。 記録:説明した日付・対象者・資料版が追えること。 月給制の運用は、気持ちよく進めるほど後から修正コストが膨らむ。だからこそ、線引きを「善意」ではなく「再現できる手順」に置き換えることが、定着と信頼の両方に効く。 |
行政書士法人HAL大阪代表行政書士 芳川 恒徳 |