HAL便り

固定残業代を入れる前に、これだけは決めておく

2026.05.01

 

 

外国人雇用のミカタ

固定残業代を入れる前に、これだけは決めておく

外国人スタッフを雇用する現場で、固定残業代(みなし時間外手当)による賃金設計を導入する企業が増えている。しかし、国際行政書士として入管実務に携わる立場から見れば、ここは最大の「審査の落とし穴」だ。

入管当局は、総支給額だけでなく、固定残業代を除いた「基本給」部分が最低賃金や日本人と同等水準を維持しているかを厳しく精査する。書面・実態・説明の三つが揃わなければ、在留資格の更新不許可や受入停止といった致命的なリスクを招きかねない。

導入前に決めておくべき三つ(時間・金額・超過)

①みなす時間数の適正化:実態とかけ離れた長い時間設定は、36協定の上限違反を疑われるだけでなく、審査官から業務実態との矛盾を突かれる。

②法定水準を満たす金額設定:固定残業代を引いた後の賃金が、法定の割増率および地域別最低賃金を下回っていないか、逆算して確認が必要だ。

③超過分の支払いルールの明記:超過分を別途支払う旨を就業規則や雇用契約書に明記し、給与明細でもその内訳を追えるようにする。

入管審査の急所〜基本給の「逆算」と説明の「証拠」

日本人との同等性基準:日本人スタッフに固定残業代を適用していないのに、外国人スタッフにのみ一律導入し、「ハダカの基本給」を日本人より低く設定している場合、上陸許可基準不適合と判断されるリスクが極めて高くなる。

特定技能における事前説明義務:特定技能外国人に対し、報酬の決定方法や控除額について母国語等で説明し、書面を交付した記録がない場合、受入機関の欠格事由に該当し、今後の受入れが数年間停止される可能性がある。

明日からできる一歩

①現在の固定残業代を引いた基本給が、日本人と同等かつ最低賃金をクリアしているか確認する。②外国人スタッフ向けに、総支給額の内訳を示す視覚的な図を用意する。③雇用契約書の賃金欄に、固定残業の時間・金額・超過時の扱いについて母国語で一文書き加える。

行政書士法人HAL

大阪代表行政書士

芳川 恒徳