【特定技能の運用方針】(10)農業
2025.04.18農業分野における特定技能制度【2024~2025年最新版】
国内外で人手不足が深刻化する農業分野では、耕種農業や畜産農業を支える専門技能を持つ人材の確保が急務です。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、外国人材を受け入れる「特定技能」制度です。本記事では、農業分野における特定技能制度の概要、必要要件、最新動向をわかりやすく解説します。
- 農業分野の特定技能制度とは?
制度の概要
特定技能制度は、慢性的な人手不足を補うために、一定の技能や経験を有する外国人を即戦力として受け入れる在留資格です。農業分野では「特定技能1号」と「特定技能2号」の両方が設定され、以下の業務区分で外国人が働くことが認められています。
・耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
・畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)
現時点では、1号と2号の双方で上記の業務に従事しますが、2号のみ実務経験要件(2年以上の指導管理経験または3年以上の現場経験)が追加で課せられます。
なぜ農業分野で外国人材が必要なのか?
・国内の農業従事者の高齢化・離農が進み、若手確保が難しい
・季節変動の大きい作業や重労働を担える労働力が不足
・災害時や繁閑期の需要増に対応できる即戦力が求められる
こうした背景から、専門技能を有する外国人を受け入れ、生産性向上や安定的な農作業体制の構築を図る動きが活発化しています。
- 2025年に向けた最新動向:技能測定試験の実施状況
2024年以降、1号特定技能の技能測定試験が本格的に実施されています。2025年には試験実施回数の増加や受験国の拡大が予定されており、農林水産省は随時スケジュールを公表しています。
・試験区分:耕種農業全般/畜産農業全般(いずれも筆記+実技)
・試験言語:日本語(将来的に英語や受入国言語での実施検討)
・免除措置:技能実習2号を良好に修了した者は、技能試験および日本語試験(N4以上)が免除されます。
最新情報は農林水産省の発表を随時確認してください。
- どんな業務に従事できるの?
1号・2号ともに、以下の主たる業務に従事します(日本人が通常行う関連業務の付随的従事は可、専従は不可) 。
・耕種農業全般:施設園芸、畑作、野菜・果樹の栽培管理、集出荷・選別
・畜産農業全般:養豚、養鶏、酪農の飼養管理、集出荷・選別
- 外国人材が満たすべき条件
(1)技能水準
・1号:1号農業技能測定試験(耕種農業全般・畜産農業全般)の合格
・2号:2号農業技能測定試験の合格+実務経験要件(指導管理2年以上または現場経験3年以上)
(2)日本語能力
・1号:国際交流基金日本語基礎テストまたはJLPT N4以上
・2号:同上(日本語試験の免除はなし)
(3)実務経験免除
・技能実習2号を良好に修了した者は、技能試験および日本語試験が免除されます。
- 企業(特定技能所属機関)に求められる条件
・農業分野特定技能協議会への加入(受入前に手続き必須)
・直接雇用が原則(派遣の場合は労働者派遣事業者の要件を満たすこと)
・過去5年以内に同一労働者を6か月以上雇用した経験(直接雇用の場合)
・支援計画の策定・実施(入国前オリエンテーション、生活・就労支援等)
・労働基準法の基準を参考にした適正な労働時間管理と休憩・休日の設定
- よくある質問(FAQ)
Q1 過去に技能実習2号を修了した場合、どこまで免除されますか?
A 試験区分に関わらず、技能試験および日本語試験(N4以上)が免除されます(運用要領別表参照)。
Q2 家族帯同は可能ですか?
A 農業分野では1号・2号ともに家族帯同は原則不可です。
Q3 支援計画はどのように委託できますか?
A 登録支援機関に全て委託する場合、当該機関は協議会への加入と協力義務を負います。
- まとめ
農業分野の特定技能制度は、国内農業の人手不足を補う有効な仕組みです。技能測定試験と日本語能力試験により即戦力を確保し、企業は支援体制と法令遵守を徹底することで、安定的かつ持続可能な生産体制を実現できます。2025年以降の試験拡充に伴い、さらなる受入れ枠の拡大が見込まれるため、最新情報をこまめにチェックし、採用戦略を立案してください。
本記事が、農業分野での外国人雇用検討に役立つことを願っています。