HAL便り

割増賃金の計算で「手当」を雑に扱うと、なぜ危ないのか

2026.04.26

 

 

外国人雇用のミカタ

割増賃金の計算で「手当」を雑に扱うと、なぜ危ないのか

賃金は、基本給に加えて各種手当が付くことが多い。ところが時間外や休日の割増を計算するとき、どの金額を「賃金」として積み上げるかが曖昧だと、後から金額だけでなく信頼も削られる。

外国人スタッフを含む職場では、用語の説明不足がそのまま誤解と不安につながりやすい。

割増の土台になる「賃金」とは何か

時間外労働や休日労働に対する割増賃金は、所定労働時間を超えた対価として設計されている。問題になるのは、会社が支払っている金銭のうち、何を「割増計算の基礎」に含めるかである。

基本給は当然の対象になりやすいが、諸手当は名称や性質によって整理が必要になる。ここを現場任せや口頭運用にすると、「先月は含めていたが今月は含まない」というイレギュラーが生じて混乱を来たしやすい。再現できない運用はトラブルの温床だ。

現場で起きやすいズレ

①手当の定義が就業規則・賃金規程に明記されていない:現場では「みんなそういうもの」と運用しても、客観的な説明ができないとトラブルの予防にはならない。

②同じ名称でも支給条件が人によって異なる:個別調整は現場では起きやすいが、割増の基礎にどう反映するかが決まっていないと、公平性の疑いが出る。

③給与明細の見せ方が統一されていない:項目が増えるほど、何が割増の対象になった金額かが分かりにくくなる。分かりにくさは不信感を生む。

整えるときの最小セット

規程:割増計算の基礎となる賃金の範囲が、どの条文で定義されているか。

計算:給与計算が、その定義に沿って一貫しているか(例外をどう記録するか)。

説明:入職時と改定時に、母国語資料や通訳の有無を含めて読み合わせができるか。

割増は、制度の話に見えて、実態は説明責任の話だ。説明がきちんとなされていれば現場の不安は減る。

行政書士法人HAL

大阪代表行政書士

芳川 恒徳