HAL便り

制度の混乱が続く今こそ問い直す——日本人と外国人の「共存共栄」は絵空事か(後編)

2026.05.04

 

 

外国人雇用のミカタ

制度の混乱が続く今こそ問い直す——
日本人と外国人の「共存共栄」は絵空事か(後編)

前編では、制度の混乱が「共存」の脆さを暴いたこと、そして「共存共栄」が理想論ではなく最低限の必要条件であることを論じた。後編では、制度が不完全な中でも現場の力で「共存共栄」を実現する方法について述べる。

制度の不備を、現場の力で乗り越える

「共存共栄」を実現している企業には共通するパターンがある。特別なことをしているわけではない。当たり前のことを当たり前にやっている。ただし、その「当たり前」を外国人に対しても例外なく実践している。そこが決定的に違う。

「同じ釜の飯を食う」関係をつくる:昼食を一緒にとる。誕生日を祝う。母国の祝日を知って、声をかける。その積み重ねで、外国人スタッフの中に「この会社にいていいんだ」という安心感が芽生える。

「日本人も外国人も同じルール」を貫く:評価基準、昇給のルール、研修の機会——「外国人だから」という理由だけで不利な扱いをすることは「共存共栄」の理念と根本的に矛盾する。

排外主義に抗う

日本の人口構造は、外国人材なしには社会を維持できない段階に入っている。生産年齢人口の減少は、もはや政策では止められない。少なくとも今後20年間は、外国人材の力を借りなければ日本社会は物理的に回らない。

経営者にできることは、自社の現場から「内」と「外」の境界を溶かしていくことだ。日本人社員と外国人社員が同じ目標に向かって働き、同じルールで評価され、同じ食堂で飯を食う。その日常を、一つの会社から始める。それが排外主義に対する強力なアンサーになる。

共存共栄は、今日から始められる

大きな制度改革を待つ必要はない。明日の朝礼で、外国人スタッフに「最近、困っていることはないか」と声をかける。来週の会議で、外国人スタッフの処遇について議題に上げる。一つひとつは小さなことだ。しかし、その小さな積み重ねが、やがて組織の文化を変える。

「共存共栄」とは、制度が完璧になってから始まるものではない。制度が不完全な今だからこそ、人と人の間で育てていくものだ。あなたの会社は、その一歩を踏み出す準備ができているだろうか。

行政書士法人HAL

大阪代表行政書士

芳川 恒徳