HAL便り

制度の混乱が続く今こそ問い直す——日本人と外国人の「共存共栄」は絵空事か(前編)

2026.05.03

 

 

外国人雇用のミカタ

制度の混乱が続く今こそ問い直す——
日本人と外国人の「共存共栄」は絵空事か(前編)

経営管理ビザの要件引き上げ。帰化要件の突然の厳格化。特定技能外食業の受入一時停止。わずか半年のあいだに、外国人の在留に関わる制度が立て続けに動いた。

制度が揺れている今だからこそ、「日本人と外国人の共存共栄」という言葉の中身を、改めて問い直したい。

制度の混乱が暴いた「共存」の脆さ

経営管理ビザの要件を満たすために人生の一部や多額の資金を投じた外国人経営者。何年もかけて帰化要件をクリアしてきた永住者。特定技能の在留資格を取得しようと試験対策をしてきた若者。彼ら彼女らは、「日本のルール」を信じて行動した人たちだ。

その人たちに対して、ルールを後出しで変える。ゴールポストを動かす。制度を信頼して日本に来た人たちの信頼を裏切れば、「日本は約束を守らない国だ」という評判が世界中に広がる。一度失った信頼を取り戻すには、失うのにかかった時間の何倍もの時間と努力が必要になる。

「共存共栄」とは何か——その言葉を解体する

「共存共栄」とは、「同じ社会の中で、日本人も外国人も、互いの存在によって共に豊かになっていく」ということだ。一方だけが得をし、もう一方が損をする関係は「共栄」ではない。安い労働力として外国人を使い倒し、日本人の経営者だけが利益を享受するのは「搾取」であって「共栄」ではない。

「共存共栄」の土台にあるのは、互いへのリスペクトだ。日本人が外国人を「安い人手」ではなく「共に社会を支える対等なパートナー」として迎え入れる。外国人が日本の法律と文化を理解し、地域社会の一員としての責任を自覚する。この双方向のリスペクトがあって、はじめて「共存共栄」は成り立つ。

「共存共栄」は理想論ではなく必要条件だ

日本の生産年齢人口は2050年には現在の約3分の2に縮小する。建設、介護、製造、物流、飲食——あらゆる現場で「日本人だけでは回らない」という状態が、すでに始まっている。

「共存共栄」は、理想論として語られるべきものではない。もはや最低限の必要条件だ。この前提を受け入れられない企業は、市場からの退場を余儀なくされるだろう。

行政書士法人HAL

大阪代表行政書士

芳川 恒徳