HAL便り

【特定技能の運用方針】(16)林業

2025.04.18

林業分野における特定技能制度【2024~2025年最新版】

国内では少子高齢化や担い手不足が深刻化し、特に林業分野では高齢化が進む中で育林や素材生産などの現場作業を担う人材確保が急務となっています。こうした課題を解消する手段として注目されているのが、外国人材を即戦力として受け入れる「特定技能制度」です。本記事では、林業分野における特定技能制度の概要や必要要件、最新の運用ポイントをわかりやすく解説します。

 

林業分野の特定技能制度とは
特定技能制度は、人手不足が深刻な産業分野において、一定の技能と日本語能力を備えた外国人を受け入れる在留資格です。林業分野では特定技能1号のみが設定され、育林、素材生産等の専門作業を担える外国人を受け入れます。特定技能2号は林業分野では適用されず、在留期間は通算5年、家族帯同は原則として認められません。

 

なぜ林業分野で外国人材が必要なのか

・従事者の高齢化と若年後継者不足が進む

・山間部での厳しい作業環境が敬遠されやすい

・森林の整備・保全は災害防止や地域経済に不可欠

これらの背景から、即戦力として技能を発揮できる外国人材の受け入れが、業務の継続性と林業全体の持続可能性を支える鍵となっています。

 

従事できる業務内容
特定技能1号外国人は、下記の主たる業務に従事します。

・育林作業:間伐、下刈り、枝打ちなど苗木の成長を促す作業

・素材生産:丸太の伐採、造材、集材、搬出など原木を生産現場から運び出す作業

あわせて、日本人が通常行う以下の関連業務にも付随的に従事できますが、関連業務のみを専ら行うことは認められません。

・林産物の製造・加工(皮むき、簡易加工など)

・冬季の除雪作業

・作業用機器・装置の保守管理、資材運搬、事業所の清掃等

 

外国人材が満たすべき条件
特定技能1号として林業分野で就労するには、以下を満たす必要があります。
(1)技能水準

林業技能測定試験に合格すること

技能実習2号を良好に修了した者は試験免除(職種・作業不問)
(2)日本語能力

国際交流基金日本語基礎テスト合格または日本語能力試験N4以上

技能実習2号良好修了者は日本語試験も免除
(3)その他

18歳以上であること

健康診断等で就労に支障がないと認められること

 

企業に求められる要件
林業分野で特定技能外国人を受け入れる際、受入企業(特定技能所属機関)は以下を遵守する必要があります。

・林業分野特定技能協議会への加入・協力

・派遣禁止、直接雇用の原則

・適正な特定技能雇用契約の締結(労働基準法等に適合)

・支援計画の策定・実施(入国前オリエンテーション、定期面談、生活支援等)

・登録支援機関に支援計画実施を委託する場合は、協議会協力義務を満たす機関であること

・実務経験証明書等の書面交付対応

 

制度の運用ポイントと最新動向

・令和6年9月に公表された運用要領別冊で、林業分野固有の告示基準が明確化

・特定技能2号は林業分野では設定されず、在留期間5年・家族帯同不可のルールが維持

・技能実習2号修了者の試験免除範囲が職種問わず適用

・協議会加入前の申請や支援計画実施体制について、告示に基づく詳細な手順を遵守

 

まとめ
林業分野における特定技能制度は、育林や素材生産の現場で即戦力となる外国人材を受け入れることで、人手不足の緩和と持続可能な森林経営を両立します。企業側は協議会加入、適正雇用契約、支援計画の整備を徹底し、最新の告示・運用要領を踏まえた運用を心がけることで、制度の効果を最大化できます。今後も制度改定や試験情報の更新に留意し、戦略的な人材確保を進めてください。