HAL便り

昇給は「仕組み」で回すと、定着の見通しが立つ

2026.04.29

 

 

外国人雇用のミカタ

昇給は「仕組み」で回すと、定着の見通しが立つ

現場でよく出るのが、こういう声だ。「頑張っているのに、どう評価されているのか分からない」

昇給は経営判断として語られがちだが、現場では「基準が見えないこと」そのものが不満ではなく不安につながる。先の見通しが立たない昇給は、期待ではなく諦めを生みやすい。

昇給が見えないと、現場で何が起きるか

①評価が記憶に依存する:「あの人はよくやっている」という印象評価が中心になると、時期や担当者によって判断が揺れる。

②説明が後付けになる:昇給が決まった後に理由を探すため、本人への説明と社内の認識が一致しない。

③比較が始まる:「あの人は上がったのに自分は上がらない」という状態が続くと、納得ではなく疑念が蓄積する。

「不満」よりも「不安」が怖い

不満は「低い」という評価に対する反応であり、金額の調整や一度の説明で収まる余地がある。一方で不安は、「どう決まっているのか分からない」という状態から生じる。基準や見直しのタイミングが見えない限り、解消されにくい。

特に外国人スタッフの場合、評価基準が言語化されていない、面談での説明が十分でない、将来の見通しが立たないといった条件が重なると、この不安は早い段階での離職判断につながりやすい。

スキルと昇給をつなぐシンプルな考え方

複雑な評価制度を導入する必要はない。最低限、次の三点で十分だ:基準(何を評価するか)、周期(いつ見直すか)、記録(何を確認したか)。

例えば、スキル段階を「指示があれば実行できる→単独で安定して遂行できる→他者に教えられる→イレギュラーに対応できる」の4段階で整理し、段階ごとに賃金や手当を紐づける。これで昇給は「結果」ではなく個々人の成長の「過程」として説明できるようになる。

明日からできる一歩

①昇給・査定のルールを抜き出し、現場責任者とすり合わせる。②面談記録を1件確認し、「なぜこの評価か」を説明できるか確認する。③技能段階を3〜4段階に分けた簡易表を作る。

昇給は特別な制度ではなく、日々の運用の積み重ねだ。説明できる状態を整えることが、結果として定着の見通しをつくる。

行政書士法人HAL

大阪代表行政書士

芳川 恒徳